この記事は、国際的な研究論文
引用元:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7820954/
引用元:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30549286/
引用元:https://www.mdpi.com/2079-9284/11/2/64
を翻訳、わかりやすく解説した記事内容です。
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ヘアケア製品を選ぶ時、「髪の内部まで浸透」「深層補修」といった言葉をよく目にしますよね。でも、実際にどの成分がどこまで届くのか、その仕組みを知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、最新の科学研究をもとに、ヘアケア成分が髪のどこまで浸透するのか、そのメカニズムを分かりやすく解説します。これを知ることで、あなたのヘアケア選びがきっと変わるはずです。
髪の構造を理解しよう
まずは髪の基本構造をおさらいしましょう。髪は大きく3つの層で構成されています:
キューティクル(表面層) 髪の最外層で、うろこ状に重なった薄い層。髪を外部の刺激から守るバリアの役割を果たします。
コルテックス(皮質層) 髪の大部分を占める内部層。髪の強度や弾力、色を決める重要な部分で、ダメージもここに蓄積されます。
メデュラ(髄質層) 髪の中心部。細い髪にはない場合もあります。
分子量がカギ:小さいほど奥まで届く
国際的な研究論文「Penetration of different molecular weight hydrolysed keratins into hair fibres and their effects on the physical properties of textured hair」では、加水分解ケラチンの分子量によって髪への浸透度が大きく異なることが明らかになりました。
研究で分かったこと
低分子量ケラチンペプチド 髪のコルテックス(内部層)まで深く浸透することが蛍光顕微鏡で確認されました。まさに「内部まで届く」成分の代表格です。
中分子量ケラチンペプチド コルテックスまでは到達しますが、低分子量ほどの浸透力はありません。
高分子量ケラチンペプチド 主にキューティクル(表面)に留まり、内部への浸透は限定的でした。
この結果は、ヘアケア製品を選ぶ際に「低分子」という表示がいかに重要かを科学的に証明しています。
髪が濡れている時が浸透のチャンス
キューティクルは髪のバリア機能を担っていますが、完全に閉ざされているわけではありません。研究によると、キューティクルとコルテックスの境界には「CARB(Cuticle Anchored Resistant Base)」と呼ばれる抵抗性の高い構造が存在しています。
浸透しやすくなる条件
髪が濡れている時 水分によってキューティクルが開き、CARBの抵抗が下がります。この状態では成分が内部に届きやすくなります。
ダメージがある髪 「Impact of Hair Damage on the Penetration Profile of Coconut, Avocado, and Argan Oils into Caucasian Hair Fibers」の研究では、髪にダメージがあるほど、ココナッツオイルなどの成分がコルテックス層まで浸透しやすくなることが示されています。
これは、ダメージによってキューティクルのバリア機能が弱くなるためです。ダメージヘアの方がトリートメント効果を実感しやすいのは、この理由もあるのです。
実際のヘアケアに活かすポイント
これらの科学的知見を日常のヘアケアに活かすには、以下の点を意識してみてください:
成分選びのコツ
低分子成分を重視する 加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、アミノ酸など、「加水分解」や「低分子」と表示された成分を選びましょう。
濡れた髪への使用を意識する シャンプー後、髪が濡れた状態でのトリートメントやヘアミルクの使用が効果的です。
使用タイミングの最適化
洗髪後すぐのケア キューティクルが開いている洗髪直後は、成分が浸透しやすい絶好のタイミングです。
ダメージ部分への重点ケア 毛先などのダメージが気になる部分には、より念入りにケア製品を塗布しましょう。
まとめ:科学に基づくヘアケア選び
髪への成分浸透には、「分子量」「髪の濡れ具合」「ダメージレベル」という3つの重要な要素があることが科学的研究で明らかになっています。
これらの知識を持つことで、単なるマーケティング文句に惑わされず、本当に効果的なヘアケア製品を選ぶことができるようになります。あなたの髪質や悩みに合わせて、科学的根拠のあるヘアケアを始めてみませんか?
美しい髪は一日にして成らず。正しい知識に基づいたケアで、理想の髪を手に入れましょう。